年金未納率増加の背景
未納問題が拡大する背景には、制度の設立当初(昭和36年)、国民年金(現在の第一号被保険者)の主な対象は自営業者、農業・漁業従事者であったが、徐々に自営業者、農業・漁業従事者の割合は減少し、学生、無職等の割合が増加していることが主な原因ではあるが、「未納者が増えているために年金崩壊がさらに早まり、いま保険料を支払っても年金をもらえなくなるのではないか」という不安が、マスコミの報道などを通して国民に広がっていることも挙げられる。
実際、年金給付を年金保険料による収入で賄うのは現在の急速な少子化がある限りほとんど不可能であることが確実視されており、年金制度の健全な運用には税金の投入(国庫負担)が必要であり、基礎年金の国庫負担割合は1/3から1/2への引き上げが行われている。
資金運用の不明瞭さは問題点のひとつであり、年金の給付原資となるべき積立金が1980年代に年金会館や保養所など各種施設の建設や財政投融資に流用され、大きな損失を生んだという経緯がある(公的年金運用問題)。また、給料から源泉徴収されて強制的に保険料を払わされているサラリーマンに負担が集中しているという不公平さ、夫が終身雇用のサラリーマンで妻が専業主婦という従来の家族構成に有利に働き、夫婦共働きの家庭や転職経験者に不利になっているという多様化したライフスタイルへの対応の遅れも指摘されている。
解決のためには、年金制度の公正化と安定化が急務であり、国民の信頼を取り戻すことはより多くの未納者から納付を得るために不可欠である。しかし、年金制度安定のための改革案が活発に議論されていた2004年の国会の期間中には、閣僚を始め多くの国会議員の年金未納が発覚するという皮肉な事態が生じ、官房長官や第一野党の民主党代表が辞任に追い込まれるという一大政治スキャンダルにまで発展した。
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